いまのサイトには、人だけでなく、AIの学習用・検索用・代理アクセス用のボットが大量に来ています。困るのは、サーバーの負荷、従量課金の費用、内容の無断利用の3つです。対策はrobots.txt でお願いする → 守らないものはCloudflareなどで止める → ボットが来ても困らないサイトにするの3段階です。全部を止めるとAI検索に見つけてもらえなくなるため、「学習はお断り、検索は歓迎」のように目的ごとに分けるのが現実的です。
結論:アクセスの多くは人間ではない
小さな会社のサイトでも、サーバーのアクセスログを開くと、人ではないプログラム(ボット)の記録が並んでいます。昔からある検索エンジンのボットに加えて、ここ数年で増えたのがAIの会社が動かすボットです。
AIボットの多くは、攻撃のために穴を探すボット(AIを使ったサイバー攻撃の種類の「大量の巡回と探索」)とは違い、AIの学習や、質問に答えるための材料集めが目的です。それでも量が多ければ負担になり、内容が知らないうちに使われることもあります。この記事では、止めるべきもの・通すべきものを分けて考えます。
AIボットとは:学習用・検索用・代理アクセス用
Cloudflareは、AIのボットを目的で3つに分けています。この分け方を知っておくと、対策を選びやすくなります。
| 種類 | 何をするか | 止めたときの影響 |
|---|---|---|
| 学習用(Training) | サイトの文章を集め、AIの学習や調整に使う | 今後の学習に使われにくくなる。サイトへの人の流れはほぼ変わらない |
| 検索用(Search) | あとで質問に答えるために、内容を集めて整理しておく | そのAIの検索結果で、サイトが紹介されにくくなる |
| 代理アクセス用(Agent) | 利用者がAIに質問したその場で、代わりにページを読みに来る | AIに「このページを読んで」と頼まれても読めなくなる |
たとえばAnthropicは、学習用の ClaudeBot、利用者の質問に応じて読みに来る Claude-User、検索の質を上げるための Claude-SearchBot を分けて公開しています。Googleは、Geminiの学習などへの利用を断るための Google-Extended という名前を用意しています(これはボットの名前ではなく、robots.txt で使う「目印」です)。
このほか、名前を名乗らず、普通のブラウザのふりをして来るものもあります。Cloudflareは2025年8月、あるAI検索の会社が、正式なボットを拒否されると名前とIPアドレスを変えて読みに来ていたと公表し、その会社を「確認済みのボット」の一覧から外しました。同じ調査で、OpenAIの代理アクセス用のボットは、robots.txt で拒否されると読みに来るのをやめたとも報告しています。ボットによって、行儀のよさに差があるということです。
数字で見るAIボット(Cloudflareの観測)
- 2025年8月の調査では、過去12か月のAIボットの巡回のうち、約80%が学習用、約18%が検索用、約2%が利用者の代理アクセスでした。
- 同じ調査で、AIの会社ごとに「何回読みに来て、何回サイトに人を送ったか」を比べると、2025年7月時点で、主な会社でも、読みに来る回数が送る人数の約200倍から約3万8,000倍でした。
どれも2025年の数字で、その後も変わっています。ただ「たくさん読みに来るわりに、人はあまり送ってこない」という傾向は、知っておいてよいでしょう。
サイトに起きること
| 起きること | 具体的には | WordPressで起きやすい理由(当ラボの見立て) |
|---|---|---|
| 表示が重くなる | ボットが短時間に多くのページを読みに来て、人のアクセスが遅くなる。共用サーバーでは制限がかかることも | WordPressは、表示のたびにPHPとデータベースでページを組み立てる。キャッシュが効いていないページ(サイト内検索の結果、絞り込みのURLなど)は特に重い |
| 費用が増える | 転送量や処理量で料金が決まる契約では、ボットの分も請求に乗る | 画像の多いサイトや、古い記事・タグページが大量にあるサイトは、読まれるページ数が増えやすい |
| 内容が無断で使われる | 文章や写真がAIの学習に使われる。AIの回答に要約が出ても、サイトには人が来ないことがある | WordPressに限らず、公開しているページすべてが対象 |
| 公開したつもりのない物が見つかる | 古い見積書のPDF、テスト用ページ、昔の資料などがリンクをたどって読まれる | アップロードしたファイルは、記事から外しても/wp-content/uploads/に残り、URLを知れば開ける |
4つめは見落とされがちです。ボットは悪気なく、人よりも丁寧にリンクやファイルをたどります。「抜き取られて困る情報」の多くは、ボットの問題というより、公開してはいけない物が公開状態になっている問題です。
見分け方:アクセス解析ではなく、ログを見る
アクセス解析には、ほとんど出てこない
Googleアナリティクスのような解析ツールは、ページの中のJavaScriptが動いたときに記録します。多くのボットはJavaScriptを動かさないため、解析ツールの数字は普段どおりなのに、サーバーは忙しい、ということが起こります。ボットの量は、サーバーのアクセスログか、Cloudflareの分析画面で確かめます。
ログで見る3つの点
- 名乗り(ユーザーエージェント)を見る
ログの各行の終わりにある文字列に、ClaudeBot、GPTBot、Googlebotなどの名前が入っていれば、そのボットを名乗っています。レンタルサーバーの多くは、管理画面からアクセスログを取り出せます。 - 名乗りが本物か確かめる
名乗りは誰でも書き換えられます。Googleは、IPアドレスから逆引きしたホスト名が googlebot.com・google.com・googleusercontent.com のどれかで、さらにそのホスト名から元のIPアドレスに戻ることを確かめる方法を公開しています。Anthropicも、自社のボットのIPアドレスの一覧を公開しています。 - 時間帯と読まれているURLを見る
重いと感じる時間帯に、同じボットが短い間隔で大量に来ていないか、サイト内検索の結果や存在しないURLばかり読まれていないかを見ます。
Cloudflareを手前に置いている場合は、「AI Crawl Control」でどのAIボットがどれだけ来ているかを一覧で見られます。公式ドキュメントでは、全プランで、設定なしで動くとされています(料金を請求する機能は限定公開)。
対策① robots.txt で「来てほしくない」と伝える
robots.txt は、サイトの一番上に置く、ボット向けの案内のファイルです。WordPressは、このファイルを置いていなくても、管理画面(/wp-admin/)を断る簡単な内容を自動で返します。ここに、断りたいボットを書き足します。
たとえば、Anthropicの学習用ボットとGoogleの学習用の目印だけを断り、ほかは今までどおりにするなら、次のような書き方になります。
User-agent: ClaudeBot
Disallow: /
User-agent: Google-Extended
Disallow: /
User-agent: *
Disallow: /wp-admin/
Allow: /wp-admin/admin-ajax.php
Anthropicは robots.txt に従うと明記しており、読みに来る間隔をあける Crawl-delay という書き方にも対応しています。反対に、IPアドレスで遮断する方法は、robots.txt を読めなくなるため確実ではないとしています。
なお、「学習に使わないで」と機械が読める形で示す新しい規格(IETFで検討中)もあり、Anthropicは2026年10月30日から読み取りを始め、Googleも2027年の早い時期に対応する予定としています。規格はまだ固まっていないため、当面は robots.txt で名前を挙げて断るのが確実です。
対策② Cloudflareで、守らないボットを止める
robots.txt を守らないボットや、名前を変えて来るボットを止めるには、サーバーの手前で通信そのものを断る必要があります。WordPressを残したままCloudflareで守るで紹介した構成なら、次の設定が使えます。
| 設定 | できること | 注意点 |
|---|---|---|
| AIクローラーとエージェントのアクセス方針 | 「学習」「検索」「代理アクセス」ごとに、遮断・広告のあるページだけ遮断・許可を選ぶ。学習には、robots.txt で断る「Disallow」もある | 新しく追加したドメインの初期値は、3つとも「許可」 |
| robots.txt の自動追記 | 上の方針に合わせて、AIボットを断る行をCloudflareが robots.txt の先頭に足す。全プランで使える | 元の robots.txt はその下にそのまま残る。守るかどうかは相手しだい |
| robots.txt の違反の一覧 | robots.txt で断ったURLを読みに来たAIボットを、名前・URL・回数で一覧にする。違反したボットは個別に止められる | 今の robots.txt と比べて計算するため、新しく断った直後は、過去のアクセスが違反に見えることがある |
Cloudflareの公式ドキュメントでは、学習を「Disallow」にして「Bot Preference Sync」を有効にすると、学習用のボットを手前で遮断もするとしています。ただし、学習と検索の両方に使うボットは、この遮断の対象から外れます。Bot Fight Mode の注意点(例外を作れないなど)は、上の記事を参照してください。
対策③ ボットが来ても困らないサイトにする
ボットは今後も増えると考えられます。止めることと同じくらい、来ても困らない状態にすることが大切です。
- キャッシュ(作ったページを使い回す仕組み)が効いているか確かめる。サーバーの機能やプラグイン、Cloudflareで設定できる
- 読まれても意味のないページ(中身のないタグページ、古いテスト用ページ)を減らす
- サイト内検索の結果ページなど、組み立てに時間がかかるページへの大量アクセスを、回数制限で抑える
/wp-content/uploads/に、公開するつもりのないファイル(見積書、名簿、古い資料)が残っていないか見直し、消す- 会員だけに見せたい情報は、URLを知られていない「だけ」にせず、ログインが必要な場所に置く
そもそも、ページを毎回組み立てない仕組み(静的サイト)にすれば、ボットが大量に来てもサーバーへの負担はほとんど増えません。更新や負荷の悩みが重なっているなら、WordPressからの乗り換え先5つを比較も参考にしてください。
AI検索に「見つけてもらう」こととの両立
全部のAIボットを止めると、ChatGPTやClaude、GoogleのAIによる概要などで、サイトが紹介されにくくなります。中小企業のサイトでは、むしろAI検索から見つけてもらいたい場合も多いはずです。
- Googleの検索とAIによる概要:Googleは、AI Overviews や AI モードに表示されるための特別な条件はないとし、通常の検索に載っていて、抜粋を表示できるページが対象になると説明しています。制御するのは通常の Googlebot の設定で、Google-Extended を断っても検索には影響しません。
- ほかのAI:Anthropicは、
Claude-UserやClaude-SearchBotを止めると、利用者の検索で表示されにくくなる可能性があるとしています。他社も、学習用と検索用・代理アクセス用で名前を分けていることが多いため、名前ごとに判断します。
サイトの種類別の考え方(当ラボの整理)
| サイトの種類 | 学習用 | 検索用・代理アクセス用 |
|---|---|---|
| 会社案内・お店のサイト | 方針しだい(断っても集客への影響は小さい) | 許可がおすすめ。AIに会社名で聞かれたときに答えてもらいやすい |
| 記事や写真が商品のサイト | 断ることを検討 | 許可しつつ、負荷とサイトに来る人の数を見て見直す |
| 会員・予約のあるサイト | 断ることを検討 | 公開ページは許可。会員向けの情報はログインの内側に置く |
どの場合も、決めた方針を robots.txt に書き、守らないものだけを手前で止める、という順番がおすすめです。AIによる検索への表示や順位は、どの設定でも保証されない点にも注意してください。
よくある質問
Googleのアクセス解析では、ボットのアクセスは見えますか?
多くは見えません。Googleアナリティクスのような解析ツールは、ページの中のJavaScriptが動いたときに記録する仕組みのため、JavaScriptを動かさないボットはほとんど数えられません。ボットの量を知るには、サーバーのアクセスログか、Cloudflareなど手前に置いたサービスの分析画面を見てください。
robots.txt でAIボットを拒否すれば、もう来なくなりますか?
守るボットは来なくなりますが、守らないボットは止まりません。robots.txt はお願いの仕組みで、Googleも「クローラーの動作を強制することはできない」と説明しています。守らないボットを止めるには、Cloudflareなどで通信そのものを遮断する必要があります。
Google-Extended を拒否すると、Googleの検索順位が下がりますか?
Googleは、Google-Extended は検索結果に載るかどうかに影響せず、検索の順位付けにも使わないと説明しています。関わるのはGeminiの学習など一部のAIでの利用で、検索やAIによる概要(AI Overviews)への表示は通常のGooglebotの設定で決まります。
AIに学習されたくありませんが、AI検索には載りたいです。両立できますか?
ある程度はできます。学習用のボットだけを robots.txt で拒否し、検索用・代理アクセス用のボットは許可する、という分け方です。Cloudflareの設定でも「学習」「検索」「代理アクセス」を分けて選べます。ただし、学習と検索の両方に使うボットもあり、きれいに分けられない場合があります。
ボットのせいでサーバーが重い気がします。まず何をすればよいですか?
サーバーのアクセスログで、重いと感じる時間帯にどのボットが多いかを確かめてください。名乗っているボットなら robots.txt で減らせることがあります。名乗らないボットや、短時間に大量に来るボットには、Cloudflareのボット対策や回数制限が向いています。あわせて、表示を速くする仕組み(キャッシュ)が効いているかも確かめます。
参照元
- Cloudflare Docs:AI Crawler and Agent access policies(2026年11月2日更新)
- Cloudflare Docs:Managed robots.txt(2026年11月2日更新)
- Cloudflare Docs:AI Crawl Control(2026年8月14日更新)
- Cloudflare Docs:Track robots.txt(2026年4月23日更新)
- Cloudflare Blog:AIボットの巡回の目的と、読みに来る回数・送る人数の比較(2025年8月29日)
- Cloudflare Blog:From Googlebot to GPTBot: who's crawling your site in 2025(2025年7月1日)
- Cloudflare Blog:名乗らないクローラーによる robots.txt の回避についての報告(2025年8月4日)
- Anthropic:Does Anthropic crawl data from the web, and how can site owners block the crawler?
- Google 検索セントラル:Google の一般的なクローラー(Google-Extended)
- Google 検索セントラル:AI 機能とウェブサイト
- Google 検索セントラル:robots.txt の概要
- Google 検索セントラル:Googlebot の確認方法
- WordPress Developer Resources:do_robots()
- 最終確認日:2026年11月5日
URLを送るだけで、外から確認できる範囲で、サイトの守りの状態と、ボット対策の進め方をお返しします。