WordPressをCloudflareへ移す方法は、WordPressを残すか、やめるかでまず2つに分かれます。残すなら「Cloudflareを門番にする」、やめるなら「静的化」「作り直す」「EmDash」の3つから選びます。どの方法でも、ネームサーバーを切り替えるときのメールの設定と、フォームなど動く機能の代わりを先に決めておくのが、失敗しない近道です。
この記事は、WordPressのサイトをCloudflareで動かしたい・守りたいと考えている会社やお店の担当者に向けて書いています。乗り換え先そのものをCloudflare以外も含めて比べたい方は、WordPressからの乗り換え先5つを比較を先にお読みください。
結論:「WordPressを残すか」で方法は2つに分かれる
「WordPressをCloudflareへ」と一口に言っても、中身はまったく違う4つの方法があります。最初に決めるのは、WordPressを残すかどうかです。
- 残す:今のサーバーとWordPressはそのまま。手前にCloudflareを置いて、通信を受け止めてもらう(方法①)
- やめる:公開している場所からWordPressをなくし、Cloudflareの上でサイトを配信する(方法②〜④)
予約・会員・ネットショップなど、WordPressのプラグインに頼った機能を手放せないなら①、そうでなければ②〜④を検討する、と考えると迷いにくくなります。
Cloudflareへ移すと何が変わるか
| ① 門番にする | ②〜④ WordPressをやめる | |
|---|---|---|
| 得るもの | 怪しい通信やログイン画面への攻撃を手前で減らせる。表示が速くなることがある | 公開している場所でPHPもデータベースも動かなくなり、攻撃される場所が大きく減る。サーバー代が減ることがある |
| 失うもの | ほぼなし(設定の手間は増える) | WordPressのプラグインに頼った機能。フォームやコメントは作り直しが必要 |
| 更新の手間 | WordPressの更新は今までどおり必要 | WordPressの更新からは離れられる(②は元のWordPressを手元に残すなら、その管理は続く) |
4つの方法
① WordPressは残し、Cloudflareを門番にする
ドメインのネームサーバーをCloudflareに変え、サイトへの通信がCloudflareを通るようにします。主な手順は次のとおりです。
- Cloudflareにドメインを追加する
ダッシュボードでドメインを登録し、プランを選びます。無料プランから始められます。 - DNSの設定を確かめる
Cloudflareが今の設定を読み取って取り込みます。Cloudflareは「すべての設定を見つけられるとは限らない」としているため、今のサーバーの設定と1行ずつ見比べます。 - サイトの記録だけを「プロキシ」にする
サイトの記録(ドメイン名やwww)は、オレンジの雲の「プロキシ済み」にすると、Cloudflareを通るようになります。メール用の記録は「DNSのみ」のままにします。 - DNSSECを使っていれば、先に止める
ドメインを買った会社でDNSSECが有効なままネームサーバーを変えると、ドメインにつながらなくなるおそれがあります。切り替えが終わってから、Cloudflare側で有効にし直します。 - ネームサーバーを変える
ドメインを買った会社の管理画面で、Cloudflareが示す2つのネームサーバーに書き換えます。反映には最大24時間ほどかかることがあります。 - SSL/TLSの設定を「フル(厳密)」にする
Cloudflareは、サーバーまでの通信も暗号化する「フル」か「フル(厳密)」を強くすすめています。「フレキシブル」は、Cloudflareから今のサーバーまでの通信が暗号化されません。
WAFやログイン画面の守り方は、WordPressのセキュリティ対策で解説しています。
② WordPressを静的化してCloudflareで配信する
WordPressで作ったページをHTMLのファイルとして書き出し、そのファイルをCloudflareに置く方法です。Cloudflareの公式ドキュメントには、プラグイン「Simply Static」を使う手順が載っています。
- Simply Staticを入れて書き出す
WordPressの管理画面でプラグインを入れ、「GENERATE STATIC FILES」で書き出し、できたZIPファイルを保存します。 - Cloudflare Pagesに上げる
Cloudflareのダッシュボードの「Workers & Pages」で、Pagesの「直接アップロード」を選び、ZIPファイルを上げて公開します。 - 独自ドメインをつなぐ
公開したサイトに、自社のドメインを割り当てます。 - 元のWordPressをしまう
元のWordPressは、手元のパソコンの中や関係者しか入れない場所に移し、公開の場所からは外します。
同じドキュメントでは、WordPressのフォーム、コメント、/wp-adminなどへのリンクは使えないこと、内容を変えるたびに書き出して上げ直す必要があること、Simply Staticの無料版ではその自動化ができないことが説明されています。
③ Astroなどで作り直す
Webサイトを作るための仕組み(Astroなど)でサイトを作り直し、Cloudflareで配信する方法です。WordPressのテーマやプラグインは使わず、デザインと仕組みを一から組み立てます。記事などの中身は、WordPressから書き出して移します。
作る手間はいちばんかかりますが、そのぶん表示の速さや作りの自由度は高くなります。サイトの作りを見直したい、デザインを新しくしたい、というときに向いています。作り直しには、HTMLやプログラムの知識が要るため、多くの場合は制作会社に頼むことになります。
④ EmDashへ移る
EmDashは、Cloudflareが開発している、無料でオープンソースのCMSです。2026年9月28日に安定版の1.0が公開されました。WordPressの書き出しファイル(WXR)か、専用の書き出し用プラグインを使って記事を取り込め、添付の画像も取り込まれるとされています。
- よい点:管理画面で記事を書き続けられる。プラグインは1つずつ隔離された環境で動き、管理者が許可したことしかできない設計
- 注意:WordPressのテーマとプラグインはそのまま動かず、見た目と機能は作り直しになる。新しい仕組みのため、日本語の情報や使えるプラグインはまだ少なめ
[表]4つの比較
| ① 門番 | ② 静的化 | ③ 作り直す | ④ EmDash | |
|---|---|---|---|---|
| WordPress | 残る(公開中) | 手元に残す | なくなる | なくなる |
| 難しさ | 低〜中(DNSの知識) | 中(全ページの確認) | 高(制作が必要) | 中〜高(見た目は作り直し) |
| 更新のしかた | 今までどおり | WordPressで書き、書き出して上げ直す | ファイルを直すか、別の仕組みで書く | EmDashの管理画面で書く |
| 攻撃される場所 | 今と同じ(手前で減らす) | 大きく減る | 大きく減る | 減る(管理画面は残る) |
| 向いているサイト | 予約・会員・ECがある | 更新が年に数回の会社案内・店舗 | デザインも一新したい | お知らせやブログを書き続けたい |
静的化しやすいサイト・しにくいサイト
②の静的化は、サイトの作りによって手間が大きく変わります。テーマの名前よりも、ページを開いたあとに、裏でWordPressと通信して中身を出しているかが分かれ目です。
| しやすい | しにくい |
|---|---|
| 固定ページが中心の会社案内・店舗のサイト | 「もっと見る」ボタンで記事を読み込む、絞り込み検索がある |
| シンプルなテーマで、プラグインが少ない | ページビルダーや多機能なテーマで、動きのある部品が多い |
| ページの数が数十〜数百程度 | ページが非常に多い、URLに「?」付きの条件が多い |
| フォームが1つだけ | 会員ログイン、予約、ネットショップがある |
しにくい側に当てはまる場合でも、静的化できないわけではありません。ただ、書き出したあとに表示が崩れたり、ボタンが動かなかったりする箇所が出やすいため、切り替える前に全ページを開いて確かめる時間をとってください。
静的化で動かなくなる機能と、その代わり
お問い合わせフォーム
WordPressのフォームのプラグインは、書き出したあとは送信できなくなります。代わりの方法は2つです。
- 外部のフォームサービスを埋め込む:作りが簡単。サービスの料金と、入力された個人情報をどこに保存するかを確かめます。
- Cloudflare Workers(Pages Functions)で受け取る:自社で仕組みを持てる。作るにはプログラムの知識が要ります。
どちらの場合も、迷惑な送信を防ぐために、CloudflareのTurnstileを組み合わせられます。Turnstileは無料プランで使え(1アカウント20個まで)、Cloudflareを通していないサイトにも埋め込めます。
サイト内検索
WordPressの検索は、データベースを使うため動かなくなります。書き出したページから検索用の索引を作り、ブラウザの中で検索する道具を使うか、外部の検索サービスを埋め込みます。ページが少ないサイトなら、検索をやめてメニューを分かりやすくするのも一つの手です。
コメント
WordPressのコメントも動かなくなります。会社やお店のサイトでは、コメント欄をあまり使っていないことが多いため、この機会に閉じるのがいちばん簡単です。続けたい場合は、外部のコメントサービスを埋め込みます。
移行の流れ
- 棚卸し
ページの一覧、使っているプラグイン、フォーム、メールの設定(MXレコードなど)、外部サービスとの連携を書き出します。 - 方法を選ぶ
手放せない機能と、更新の頻度から、①〜④を選びます。 - Cloudflareで試しに公開する
本番のドメインを切り替える前に、Cloudflareが用意する仮のURLで表示とリンクを確かめます。 - 動く機能を置き換える
フォーム・検索・コメントの代わりを用意し、テスト送信をします。 - DNSを切り替える
メールの記録が正しいことを確かめてから、ネームサーバーまたは記録を切り替えます。 - 公開後の確認
主なページ、フォームの送受信、メールの送受信、Google Search Consoleでのエラーを確かめます。
つまずきやすい点
ネームサーバー変更でメールが止まる
いちばん多い失敗です。サイトだけを見ていると、メールの設定を見落とします。Cloudflareの手順でも、MXレコードと、SPF・DKIM・DMARCの記録を確かめるよう書かれています。会社のメールがレンタルサーバーに付いているものなら、そのサーバー会社が案内しているメール用の設定値を手元に用意してから切り替えましょう。
画像やリンクのパスが壊れる
静的化すると、画像やリンクが元のWordPressのURLを指したままになっていたり、書き出しから漏れたファイルがあったりすることがあります。試しの公開の段階で、主なページの画像とリンクを1つずつ開いて確かめます。URLが変わるページは、転送(リダイレクト)の設定も必要です。
更新するたびに作業が必要になる
②の静的化では、記事を1本足すたびに、書き出しと上げ直しが必要です。更新が月に何回もあるなら、自動化の方法を用意するか、④のEmDashなど、管理画面で書ける方法を選んだほうが続けやすくなります。
本当に0円になるのか
「Cloudflareならサーバー代0円」と紹介されることがありますが、条件があります。2026年10月30日時点の公式の情報では、次のとおりです。
| 項目 | 無料で使える範囲 |
|---|---|
| Cloudflareの基本プラン | 月0ドル。WAF、無料のルールセット、DDoS攻撃への防御を含む |
| Cloudflare Pages | 公開の作業(ビルド)は月500回、1サイトのファイルは2万個、1ファイル25MiBまで |
| Cloudflare Workers | 1日10万リクエストまで。静的なファイルへのアクセスは無料で上限なし |
| Turnstile | 無料。1アカウント20個まで |
次のような場合は、お金がかかります。
- Workersで1日10万リクエストを超える処理を動かす(有料プランは1アカウント月5ドルから)
- より多くのWAFのルールを使いたい(Proプランは年払いで月20ドル、月払いで月25ドル)
- ①の方法では、今のレンタルサーバーの料金はそのままかかる
- ドメインの更新料、外部のフォームサービスの料金
- 移行や作り直しを制作会社に頼む場合の費用
小さな会社案内のサイトを②で静的化するなら、Cloudflare側の料金は無料の範囲に収まることが多いはずです。ただし、移行の手間と、その後の更新の手間は0にはなりません。費用は「毎月の料金」と「人の手間」の両方で比べてください。
よくある質問
ネームサーバーをCloudflareに変えると、メールは止まりますか?
正しく設定すれば止まりません。Cloudflareは、今のDNSの設定を自動で読み取って取り込みますが、すべてを見つけられるとは限らないとしています。切り替える前に、MXレコード(メールの行き先)とSPF・DKIM・DMARCの設定が取り込まれているか、今のサーバーの設定と見比べて確かめてください。
WordPressを静的化すると、記事の更新はどうなりますか?
元のWordPressで記事を書き、そのたびにページを書き出してCloudflareへ上げ直します。Cloudflareの公式の手順では、Simply Staticの無料版では、この上げ直しを自動にできないとされています。更新が月に何回もあるサイトでは、この手間が負担になることがあります。
Cloudflare Pagesの無料プランで、どれくらいのサイトまで置けますか?
無料プランでは、1つのサイトに置けるファイルは2万個まで、1ファイルの大きさは25MiBまで、公開の作業(ビルド)は月500回までです。会社案内やお店のサイトなら、多くの場合この範囲に収まりますが、画像や記事が非常に多いサイトは事前に数を確かめてください。
お問い合わせフォームは、静的化したあとどうすればいいですか?
外部のフォームサービスを埋め込むか、Cloudflare Workers(またはPages Functions)で送信を受け取る仕組みを作るのが一般的です。迷惑な送信を防ぐには、Cloudflareの無料のTurnstile(ロボットでないことの確認)を組み合わせられます。
WordPressを残したままCloudflareを前に置くと、更新は不要になりますか?
不要にはなりません。Cloudflareは怪しい通信を手前で減らしますが、WordPress本体やプラグインの穴そのものはふさげません。更新は今までどおり続ける必要があります。
自分で移すのが難しい場合はどうすればいいですか?
まず、この記事の「移行の流れ」の1〜2(棚卸しと方法の選択)だけでもやってみてください。それだけで、どこまで自分でできるかが見えてきます。難しそうなら、当ラボの無料サイト診断で、今のサイトの作りと合いそうな方法をお返しします。
参照元
- Cloudflare Pages docs:Deploy a static WordPress site(2026年4月21日更新)
- Cloudflare Pages docs:Limits(2026年9月5日更新)
- Cloudflare Workers docs:Pricing(2026年10月2日更新)
- Cloudflare DNS docs:Full setup
- Cloudflare SSL/TLS docs:Encryption modes
- Cloudflare Turnstile docs:Plans
- Cloudflare:料金プラン
- Cloudflare Blog:EmDashの発表(2026年4月1日)
- Cloudflare Blog:EmDash 1.0(2026年9月28日)
- 最終確認日:2026年10月30日
URLを送るだけで、今のサイトの作りと、合いそうな移し方をお返しします。