WordPressからの乗り換え先は5つあります。ほとんど更新しないなら静的サイト、ブログを書き続けるならEmDashなどのCMS、予約・会員・ECを手放せないならWordPressを残してCloudflareで守るのが基本の考え方です。どこへ移るかで「引き継げるもの」と「失うもの」が大きく変わるため、先にそこを比べるのが失敗しない近道です。
結論:「更新の頻度」と「手放せない機能」で決まる
乗り換え先を選ぶときに見るべきことは、実は2つだけです。
- どれくらいの頻度で、誰が更新するか
年に数回なら、管理画面がなくても困りません。毎週記事を書くなら、自分で書ける画面が必要です。 - WordPressのプラグインに頼った機能があるか
予約、会員、ネットショップ(EC)、検索などです。これがあると、移す先が限られます。
この2つが決まると、5つの乗り換え先のうち、候補は1〜2つにしぼれます。
この記事の対象
「ワードプレス 乗り換え」と検索すると、ほかのサービスからWordPressへ移る話と、WordPressからほかへ移る話が混ざって出てきます。この記事は後者、つまりWordPressから離れたい、または今の使い方を変えたい人に向けた記事です。
- 更新や保守がつらくなってきた
- 2026年のwp2shellやPHP2Shellのような脆弱性の話を聞いて、不安になった
- サーバー代や保守費の割に、サイトをあまり使っていない
「そもそもやめるべきか」から考えたい方は、先にWordPressをやめたい人へ:理由別に分かる「次の選び方」診断をご覧ください。この記事は、乗り換え先を移す作業の目線で比べます。
乗り換え先5つの全体像
5つの乗り換え先は、「WordPressをどこまで残すか」で並べると分かりやすくなります。
| 乗り換え先 | WordPressは | ひとことで |
|---|---|---|
| ① 別のレンタルサーバーへ | そのまま使う | 置き場所だけ変える |
| ② Cloudflareで守る | そのまま使う | 前に門番を置く |
| ③ 静的サイトに変える | 公開はやめる(裏で残すことも可) | 見た目を保ったまま、動く部分をなくす |
| ④ EmDashへ移る | やめる | 中身を別のCMSへ移す |
| ⑤ SaaS型サービスへ移る | やめる | サービスの上で作り直す |
①②はWordPressを使い続ける道、③④⑤はWordPressから離れる道です。上にいくほど今と変わらず、下にいくほど作り直す部分が増えます。
[表]何が引き継げて、何を失うか
乗り換えでつまずく原因の多くは、「移したら、これが動かなくなった」という見落としです。項目ごとに比べます。
| 項目 | ① 別サーバー | ② Cloudflare | ③ 静的サイト | ④ EmDash | ⑤ SaaS |
|---|---|---|---|---|---|
| 記事・ページの中身 | そのまま | そのまま | そのまま書き出せる | 取り込める | 多くは手作業で移す |
| 見た目(デザイン) | そのまま | そのまま | ほぼそのまま | 作り直し | 作り直し |
| URL | そのまま | そのまま | 保ちやすい | 設定しだいで保てる | サービスの形式に合わせる場合がある |
| お問い合わせフォーム | そのまま | そのまま | 作り直し | 作り直し | サービスの機能に置き換え |
| 予約・会員・EC | そのまま | そのまま | 使えない | 対応するプラグインしだい | サービスの機能しだい |
| 自分で投稿する画面 | 今まで通り | 今まで通り | なくなる | ある | ある |
| 更新・保守の手間 | 今と同じ | 今と同じ | ほぼなくなる | 少なくなる | サービス任せ |
| あとで戻しやすいか | 戻しやすい | 外すだけ | 元のWordPressを残せば戻せる | 手間がかかる | 書き出し方法しだい |
※一般的な傾向です。テーマの作りや、使っているプラグインによって変わります。
5つの乗り換え先の中身
① 別のレンタルサーバーへ(WordPressは続ける)
表示が遅い、サーバー代が高い、今のサーバー会社のサポートに不満がある、といった悩みなら、この道で解決します。サーバー会社の多くが移行の手順や道具を用意しています。
- 向いている:WordPressの使い方には満足していて、置き場所だけに不満がある
- 注意:更新の手間や、本体・プラグイン・PHPの脆弱性への対応は、移ったあとも同じだけ必要です。移る機会に、使っていないプラグインの削除と、PHPのバージョンの確認(確認方法はこちら)を済ませておきましょう。
② WordPressを残してCloudflareで守る
サイトの手前にCloudflareを置き、怪しいアクセスを途中で止める方法です。見た目も、管理画面での更新も変わりません。
- 向いている:予約・会員・ECなど、プラグインに頼った機能を手放せない
- 注意:門番を置いても、WordPress自体の更新は必要です。2026年7月のwp2shellのように本体に穴が見つかったときは、門番だけに頼らず、すぐに更新できる体制が要ります(wp2shellの解説)。
③ 静的サイトに変える
WordPressで作ったページを、HTMLのファイルとして書き出し、そのファイルだけを公開する方法です。公開している側ではPHPもデータベースも動かないため、攻撃される場所がほとんどなくなります。
Cloudflareの開発者向けドキュメントでは、WordPressのプラグイン「Simply Static」で書き出したファイルを、Cloudflare Pagesに置く手順が紹介されています。同じ案内には、次の制限も書かれています。
- WordPressのフォームとコメントは動かない
- 管理画面(/wp-admin)などへのリンクは使えない
- WordPressで内容を変えるたびに、書き出しと公開をやり直す必要がある(Simply Staticの無料版では自動化できない)
一方で、元のWordPressは手元のパソコンの中や、関係者しか入れない場所に移しておけば、そこで編集して書き出す、という使い方も続けられます。
- 向いている:会社案内、店舗、採用ページなど、更新が年に数回程度のサイト。役目を終えたキャンペーンサイトを残しておきたい場合
- 注意:フォームは外部のサービスなどで作り直します。テーマによっては、書き出したときに一部の表示や動きが崩れることがあるため、全ページを確かめてから切り替えます。
④ EmDashへ移る
EmDashは、Cloudflareが開発している、無料でオープンソース(MITライセンス)のCMSです。2026年4月1日に試験版として発表され、9月28日に安定版の1.0が公開されました。Cloudflareは、WordPressのコードは使っていないと説明しています。
- 移せるもの:記事などのコンテンツ。WordPressの書き出しファイル(WXR)か、専用のプラグインで取り込め、添付の画像も取り込まれるとされています。
- 移せないもの:WordPressのテーマとプラグイン。見た目はAstro(Webサイトを作る仕組み)で作り直し、機能はEmDash用のプラグインで置き換えます。
- 守りの考え方:EmDashのプラグインは1つずつ隔離された環境で動き、管理者が許可したことしかできない設計です。WordPressのように、1つのプラグインの穴がサイト全体に広がる作りとは違います。
- 動かす場所:Cloudflareの上でも、Node.jsが動くサーバーでも動かせます。
- 向いている:ブログやお知らせを自分で書き続けたいが、WordPressの保守からは離れたい
- 注意:新しいCMSのため、WordPressに比べると、使えるテーマやプラグイン、日本語の情報はまだ少なめです。必要な機能があるか、移る前に確かめてください。詳しい比較はWordPressの代替CMS比較でも紹介しています。
⑤ SaaS型サービスへ移る(Wix、STUDIO、ペライチなど)
サービス会社のサーバーの上で、用意された画面を使ってサイトを作る方法です。サーバーの管理や、仕組みの更新はサービス側が行います。
- 向いている:数ページの小さなサイトで、自分でサーバーや更新を管理したくない
- 注意:デザインや機能はサービスの仕様の範囲になります。多くの場合、今のWordPressから自動では移せず、ページを作り直すことになります。サービスをやめるときに中身を書き出せるか、料金がどう変わり得るかは、サービスごとに違います。契約前に確かめてください。
あなたのサイトに合う乗り換え先
よくある4つのサイトの形で、第一候補を整理します。
| サイトの形 | 第一候補 | 次の候補 | 決め手 |
|---|---|---|---|
| ブログやお知らせを月に数本以上書く | ④ EmDash | ② Cloudflareで守る | 自分で書く画面が要る。保守を減らしたいならEmDash、今の運用を変えたくないならCloudflare |
| ほとんど更新しない会社・店舗のサイト | ③ 静的サイト | ⑤ SaaS | 見た目を保ちたいなら静的化、作り直してもよく自分で触りたいならSaaS |
| 予約・会員・ECがある | ② Cloudflareで守る | ① 別サーバー | 機能をすぐ手放せないなら、WordPressを残して守りを固める |
| 役目を終えたキャンペーンサイト | ③ 静的サイト | 閉じる | 残す価値があるなら静的化、ないなら閉じる(閉じ方はこちら) |
どこへ移っても残るリスク
乗り換えでWordPressの穴はなくせても、次のリスクはどの道でも残ります。移すときに一緒に見直してください。
- ドメインとDNSの管理:ドメイン会社やDNSのログイン情報が漏れると、サイトごと乗っ取られます。2段階認証を設定し、契約者の名義も確かめます。
- メール:ドメインでメールを使っている場合、DNSの設定を変えるときにメールの設定(MXレコードなど)を消してしまうと、メールが届かなくなります。
- 各サービスのアカウント:Cloudflare、SaaS、フォームサービスなど、乗り換えで増えるアカウントにも強いパスワードと2段階認証が要ります。
- 外部から読み込んでいるもの:アクセス解析、チャット、広告などのタグは、移った先でも動き続けます。使っていないものは外します。
- 古いWordPressの消し忘れ:切り替えたあと、元のWordPressを公開したまま放置すると、そこが入口になります。一定期間おいたら、公開を止めるか削除します。
移す前の棚卸しや、URLを変えないための考え方は脱ワードプレス完全ガイドでも解説しています。
費用の考え方:初期と毎月を分けて比べる
乗り換えの費用は、見積もりの金額だけで比べると判断を誤りやすくなります。「初めにかかるもの」と「毎月かかり続けるもの」に分けて比べてください。
| 乗り換え先 | 初めにかかるもの | 毎月かかり続けるもの |
|---|---|---|
| ① 別サーバー | 移す作業 | サーバー代+WordPressの保守(今と同じ) |
| ② Cloudflare | DNSの切り替えと設定 | Cloudflareのプラン料金(無料から)+WordPressの保守(今と同じ) |
| ③ 静的サイト | 書き出し、表示の確認、フォームの作り直し | 配信先の料金+更新を頼む場合の作業費。WordPressの保守はほぼ不要 |
| ④ EmDash | デザインの作り直し、コンテンツの取り込み、機能の置き換え | 動かす場所の料金+EmDashの更新 |
| ⑤ SaaS | ページの作り直し | サービスの利用料(プランによる) |
①②は初めの費用を抑えられますが、WordPressの保守費は減りません。③④⑤は初めに作業がかかる代わりに、毎月の保守の手間が減ります。3年、5年といった期間で合計すると、どちらが合うかが見えやすくなります。
自分でできるかどうかの目安としては、①②は手順に沿えば自力でも進めやすく、③はページ数とフォームの数、④⑤は作り直す量しだいで、外部に頼むかどうかが分かれます。
よくある質問
乗り換えると、今のURLは変わってしまいますか?
乗り換え先と作り方しだいです。同じドメインを使い、ページごとのURLの形もそろえれば、変えずに移せることが多いです。URLが変わる場合は、古いURLから新しいURLへ自動で案内する設定(301リダイレクト)を、ページごとに用意します。
サーバーを変えるだけでも、セキュリティは良くなりますか?
サーバー側の守りが強くなる面はありますが、WordPress本体・テーマ・プラグイン・PHPの更新が必要なことは変わりません。更新が続けられないことが悩みなら、サーバーを変えるだけでは解決しにくいです。
静的サイトにすると、お問い合わせフォームは使えなくなりますか?
WordPressのフォームはそのままでは動きません。Cloudflareの案内でも、静的にしたサイトではWordPressのフォームとコメントは使えないとされています。外部のフォームサービスを使うか、フォームの部分だけ別の仕組みで作り直します。
EmDashには、WordPressの記事をそのまま移せますか?
記事などのコンテンツは移せます。Cloudflareは、WordPressの書き出しファイル(WXR)か、専用のプラグインを使って取り込めるとしています。一方、WordPressのテーマやプラグインはそのまま動かないため、見た目と機能は作り直しになります。
Wix・STUDIO・ペライチなどのサービスへ移るのは、どんな人に向いていますか?
サイトの規模が小さく、サーバーや更新の管理を自分で持ちたくない人に向いています。一方で、デザインや機能はサービスの仕様に左右され、将来ほかへ移るときに中身を書き出しにくい場合があります。契約前に、書き出しの方法と料金を確かめてください。
どれが合うか分からない場合は、どうすればいいですか?
まず「月に何回更新するか」と「予約・会員・ECなど手放せない機能があるか」の2つを書き出してください。それでも迷う場合は、当センターの無料サイト診断で、今のサイトの状態と合いそうな乗り換え先をお返しします。
参照元
- Cloudflare Pages docs:Deploy a static WordPress site(2026年4月21日更新)
- Cloudflare Blog:EmDashの発表(2026年4月1日)
- Cloudflare Blog:EmDash 1.0: the stable CMS with a secure plugin registry(2026年9月28日)
- WordPress.org:WordPress 7.0.2 Release(wp2shellの修正)
- 最終確認日:2026年10月29日
URLを送るだけで、今のサイトの状態と、引き継ぎで注意が必要な点をお返しします。