WordPressの「引っ越し」には、サーバー移行(URLはそのまま)、ドメイン移転(URLが変わる)、方式の乗り換え(WordPress以外へ)の3種類があります。どれに当たるかで、やることも失敗の仕方も変わります。いちばん多いサーバー移行は、新しいサーバーで表示を確かめてからDNSを切り替える順番を守れば、サイトを止めずに移せます。
この記事は、WordPressのサイトを「別のサーバーへ移したい」「ドメインを変えたい」と考えている担当者に向けて書いています。WordPressそのものをやめて別の方式へ移る場合の比較は、WordPressからの乗り換え先5つを比較で詳しく扱っています。この記事では、WordPressのまま引っ越す手順を中心にまとめます。
結論:引っ越しは「3種類」あり、まずどれかを決める
サーバー会社を替えたい、ドメインを替えたい、WordPress自体をやめたい。どれも「引っ越し」と呼ばれますが、手順はまったく違います。次の2つの質問で、どれに当たるかを決めてください。
- サイトのURL(ドメイン)は変わりますか?
変わらない → サーバー移行。変わる → ドメイン移転(サーバーも同時に替えることが多い)。 - 移ったあとも、WordPressの管理画面で更新しますか?
はい → サーバー移行かドメイン移転。いいえ → 方式の乗り換え。
「引っ越し」の3つの意味と、変わるもの
| サーバー移行 | ドメイン移転 | 方式の乗り換え | |
|---|---|---|---|
| URL | 変わらない | 変わる | 変えないこともできる |
| WordPressの管理画面 | そのまま | そのまま | なくなる、または非公開の場所に移る |
| 検索への影響 | 小さい | 一時的に揺れることがある | URLを保てば小さくできる |
| いちばん大事な作業 | DNSの切り替えの順番 | 301リダイレクトとSearch Consoleの手続き | 動かなくなる機能の作り直し |
| 更新・保守の手間 | 変わらない | 変わらない | 大きく減ることが多い |
見落とされやすいのが最後の行です。サーバー移行やドメイン移転では、本体・プラグイン・PHPを更新し続ける手間は、移ったあとも残ります。
引っ越しを考えたきっかけ別の正解
| きっかけ | まず試したいこと | 引っ越すなら |
|---|---|---|
| 表示が遅い | 画像の大きさ、重いプラグイン、キャッシュ、PHPの版を見直す | サーバー移行、または手前にCloudflareを置く |
| サーバー代が高い・容量が足りない | 古いバックアップや使っていない画像・プラグインを消す | サーバー移行。更新が年に数回なら方式の乗り換えも |
| 更新や保守がつらい | 使っていないプラグインを消す | サーバー移行では解決しない。方式の乗り換えを考える |
| セキュリティが不安 | 本体・プラグイン・PHPの更新 | サーバー移行では解決しない。方式の乗り換えか、手前で守る |
| 会社名・サービス名が変わった | ― | ドメイン移転 |
「保守がつらい」「セキュリティが不安」が理由なら、サーバーを替えても悩みはついてきます。先に引っ越す前に:「サーバーを替える」以外の選択肢を読んでください。
サーバー移行の方法4つと選び方
① 移行用のプラグインで移す
サイトを1つのファイルにまとめて書き出し、新しいサーバーのWordPressで読み込む方法です。代表的なものを2つ挙げます(数字は2026年11月1日時点のWordPress.orgの表示)。
- All-in-One WP Migration:有効インストール数500万以上。データベース・画像・テーマ・プラグインを1つのファイルにまとめ、URLの書き換えも行うとしています。読み込めるファイルの大きさはサーバー会社の設定で決まり、超える場合は設定の変更か有料の拡張機能が案内されています。
- Duplicator:有効インストール数100万以上。ファイルとデータベースを1つにまとめ、新しい場所ではWordPressを先に入れなくても展開できるとしています。無料版はマルチサイト非対応です。
② 移行先サーバーの移行機能を使う
レンタルサーバーによっては、今のサイトの情報を入れるだけでWordPressを丸ごと移す機能があります。使える条件は会社ごとに違うので、移行先のマニュアルで確かめてください。
③ 手作業で移す
ファイルとデータベースを書き出し、新しいサーバーに置き直す方法です。WordPress公式の手順では、URLもデータベースも変わらない場合は、ファイルとデータベースをコピーするだけで移せるとしています。データベースの名前やユーザーが変わる場合は、wp-config.phpの値を新しいものに書き換えます。
このほか、④ 制作会社や個人の代行に頼む方法もあります。費用は、ページ数、メールも移すか、ドメインも変えるかで大きく変わります。
| 方法 | 難しさ | 向いているサイト | 失敗しやすい点 |
|---|---|---|---|
| ① プラグイン | やさしい | 小〜中規模で、管理画面に入れるサイト | ファイルの大きさの上限、途中で止まる |
| ② 移行先の機能 | やさしい | 移行先の条件に合うサイト | 条件に合わないと使えない |
| ③ 手作業 | 難しい | 大きいサイト、プラグインで移せなかったサイト | 設定の書き換え漏れ、文字化け |
| ④ 代行 | ― | 止まると困る機能があるサイト、時間がない場合 | 「何を移し、何を確かめるか」の食い違い。見積もりで項目ごとに確かめる |
どの方法でも、移す前に、使っていないプラグインと古いバックアップのファイルを消しておくと、ファイルが小さくなって失敗が減ります。プラグインの見直し方はWordPressのプラグインはなぜ狙われる?で解説しています。
サーバー移行の手順:止めずに移す7ステップ
Googleの「URLを変えずにホスティングを移す」ための案内と、WordPress公式の移行手順をもとに、会社のサイト向けに並べ直しました。
- バックアップを取り、DNSのTTLを下げる(1週間前)
ファイルとデータベースのバックアップを、サーバーとは別の場所に保存します。DNSのTTL(切り替えが広まるまでの目安の時間)も短くします。Googleは、少なくとも1週間前にTTLを下げることを検討するよう案内しています。 - 移行先を準備する
新しいサーバーにドメインを追加します。PHPは、今と同じか、サポート中のより新しい版にします。 - データを移す
切り替えが終わるまで、記事の更新や設定の変更は止めます。 - 切り替える前に、新しいサーバーで表示を確かめる
自分のパソコンのhostsファイルに新しいサーバーのIPアドレスを書くか、サーバー会社が用意している確認用のURLを使って、DNSを切り替える前に新しいサーバーのサイトを開きます。フォームの送信、画像、ログイン、よく見られるページを確かめます。Googleは、ファイアウォールなどでGooglebotが拒否されていないかを、Search ConsoleのURL検査ツールで確かめるようすすめています。 - DNSを切り替える
DNSを新しいサーバーに向けます。ネームサーバーごと変えるか、Aレコードだけを変えるかは、移行先の案内に従います。 - SSLとメールを確かめる
新しいサーバーでSSL証明書が発行されたか確かめます。そのドメインでメールを使っているなら、メールの受け取り先(MXレコード)とメールボックスの移し先を決めておかないと、メールが届かなくなります。 - 古いサーバーは、アクセスがなくなってから解約する
Googleは、古いサーバーのアクセスの記録で、アクセスがなくなったことを確かめてから止めるよう案内しています。
ドメイン移転でやること
ドメインを変える場合は、サーバー移行に加えて次の4つが必要です。
① 古いURLと新しいURLの対応表を作る
Googleは、古いURLの一覧を作り、それぞれをどのURLへ転送するかを決めるよう案内しています。会社のサイトなら、表計算ソフトに「古いURL」「新しいURL」「確かめた日」の3列を作れば十分です。Googleは、移転と同時にURLの形や中身を大きく変えると、評価のつかみ直しで検索からのアクセスが落ちることがあるとしているため、ドメインの変更とURLの形の変更は分けて行うのがおすすめです。
② データベースの中の古いURLを書き換える
WordPress公式は、ドメインを変えてもデータベースに古いドメインが残り、リンク切れや表示の崩れの原因になると注意しています。ただし単純に置き換えると、テーマやウィジェットのデータ(シリアライズされたデータ)が壊れることがあるため、専用の道具を使います。
- 管理画面に入れるなら:Better Search Replaceなどの置き換え用プラグイン
- WP-CLIが使えるなら:
wp search-replaceコマンド(シリアライズされたデータも扱えます。--dry-runを付けると、書き換えずに結果だけを確かめられます)
このとき、データベースのguidという列は書き換えません。公式は「どんな場合でも変えてはいけない」としています。RSSリーダーが記事を見分けるのに使っているため、変えると古い記事が新着として配信されることがあります。WP-CLIの公式の例でも--skip-columns=guidでこの列を外しています。
③ 301リダイレクトを設定し、長く残す
古いURLへのアクセスを、新しいURLへ自動で転送します。Googleは、技術的にできるならサーバー側の恒久的なリダイレクト(301など)を使い、リダイレクトをできるだけ長く、一般的には1年以上残すよう案内しています。転送が何段にもつながらないよう、古いURLから最終的なURLへ直接飛ばします。
④ Search Consoleでアドレス変更を伝える
新しいドメインもSearch Consoleに登録し、古いサイトの側で「アドレス変更ツール」を使います。使うには新旧両方のサイトの所有者であることと、トップページどうしの301リダイレクトが必要です。手続きのあとも、リダイレクトは少なくとも180日残し、古いドメインは悪用を防ぐため少なくとも1年は持ち続けることがすすめられています。新しいドメインのサイトマップも送信します。
Googleは、小〜中規模のサイトなら、多くのページの移転が反映されるのに数週間かかるとしています。その間は、順位が一時的に変わることがあります。
http://からhttps://への変更や、サーバーだけを替える場合は、このツールは使いません。
よくある失敗と直し方
| 症状 | よくある原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 画面が真っ白になる | プラグインやテーマが新しいサーバーのPHPに合わない | FTPでpluginsフォルダの名前を変えて全部止め、1つずつ戻して原因を探す。テーマも同じように切り替えて確かめる |
| 「データベース接続確立エラー」と出る | wp-config.phpのデータベースの名前・ユーザー・パスワード・ホストが新しいサーバーと合っていない | 4つの値を、新しいサーバーの管理画面の表示と見比べて直す |
| 文字化けする | データベースを書き出したときと読み込んだときの文字コードの設定が違う | 書き出しからやり直し、同じ文字コードで読み込む。手作業の移行で起きやすい |
| メールが届かなくなる | ネームサーバーを変えたときに、メールの設定(MXレコード)を移し忘れた | 新しいDNSの設定に、メールの受け取り先を足す |
| 古いURLや古いサーバーに戻ってしまう | データベースのsiteurl・homeが古いまま、またはキャッシュが残っている | 2つの値を確かめ、キャッシュのプラグインとブラウザのキャッシュを消す |
原因がつかめないときは、wp-config.phpでWP_DEBUGを一時的に有効にすると、エラーの内容が分かります。
引っ越す前に:「サーバーを替える」以外の選択肢
更新が年に数回しかない会社案内のサイトなら、WordPressのまま移す以外に、次の道もあります。
- 静的サイトに変える:ページをHTMLのファイルとして書き出して公開し、更新の手間と攻撃される場所を減らす
- WordPressを残し、手前で守る:Cloudflareなどを手前に置き、怪しいアクセスを止める
- 別のCMSへ移る:EmDashなど、プラグインを隔離して動かすCMSに移る
方式を変える場合も、URLを保つか、301リダイレクトで転送すれば、検索への影響は小さくできます。たとえば、Cloudflareで静的なファイルを公開する場合は、_redirectsというファイルに転送のルールを書けます。Cloudflareのドキュメントによると、固定の転送を2,000件まで書け、転送の種類を書かないと一時的な転送(302)になるため、恒久的に移す場合は301と明記します。
5つの選択肢の比較はWordPressからの乗り換え先5つを比較で、Cloudflareへの移し方はWordPressをCloudflareへ移す4つの方法で解説しています。どれが合うか迷ったら、WordPressをやめたい人への診断も使ってみてください。
引っ越しのチェックリスト
印刷して、終わったものに印を付けながら進めてください。
移す前
- 引っ越しの種類(サーバー移行/ドメイン移転/方式の乗り換え)を決めた
- ファイルとデータベースのバックアップを、サーバーとは別の場所に保存した
- そのドメインでメールを使っているか、使っているならどこへ移すかを決めた
- DNSのTTLを短くした(1週間前)
- ドメインを変えるなら、古いURLと新しいURLの対応表を作った
切り替えの前後
- DNSを切り替える前に、新しいサーバーでフォーム・画像・ログインを確かめた
- SSL証明書の発行と、メールの送受信を確かめた
- Search ConsoleのURL検査ツールで、Googlebotが新しいサーバーを見られることを確かめた
移したあと
- (ドメインを変えたなら)301リダイレクトを対応表で確かめ、アドレス変更とサイトマップを送った
- 古いサーバーへのアクセスがなくなったことを確かめてから解約した
- 古いドメインを、少なくとも1年は持ち続ける手配をした
よくある質問
サーバーを移すと、検索順位は下がりますか?
URLを変えずにサーバーだけを移す場合、Googleは、移転直後にクロールの頻度が一時的に下がるのはふつうのことで、数日かけて戻ると説明しています。ドメインを変える場合は、順位が一時的に変わることがあるとしています。順位を保証できる方法はありませんが、301リダイレクトとSearch Consoleの手続きで影響を小さくできます。
引っ越しの間、サイトは止まりますか?
手順を守れば、止めずに移せます。新しいサーバーで表示を確かめてからDNSを切り替え、切り替えが広まるまで古いサーバーも動かしておくためです。ただし、DNSが切り替わる間に古いサーバーで受けた問い合わせや注文は、新しいサーバーに入りません。切り替えの前後は、記事の更新や設定の変更を止めておきましょう。
サーバー移行とドメイン移転を同時にやってもいいですか?
できますが、問題が起きたときに原因を切り分けにくくなります。先にサーバーを移し、落ち着いてからドメインを変えるほうが安全です。
古いサーバーはいつ解約すればいいですか?
Googleは、古いサーバーのアクセスの記録を見て、アクセスがなくなったことを確かめてから止めるよう案内しています。当ラボでは、切り替えから少なくとも1〜2週間は残し、メールやフォームが新しいサーバーで動いていることも確かめてから解約することをおすすめしています。
ドメインを変えたあと、古いドメインは手放してもいいですか?
すぐには手放さないでください。Googleは、リダイレクトを一般的には1年以上残し、古いドメインは悪用を防ぐため少なくとも1年は持ち続けるようすすめています。
参照元
- WordPress Advanced Administration Handbook:Moving WordPress(2026年10月14日更新)
- WP-CLI Commands:wp search-replace
- WordPress Advanced Administration Handbook:Common WordPress Errors(2026年10月14日更新)
- Google 検索セントラル:URL を変更せずにホスティングを変更する(2025年12月31日更新)
- Google 検索セントラル:URL の変更を伴うサイト移転(2026年9月11日更新)
- Search Console ヘルプ:アドレス変更ツール
- Cloudflare Workers Docs:Redirects(2026年8月25日更新)
- WordPress.org Plugins:All-in-One WP Migration
- WordPress.org Plugins:Duplicator
- 最終確認日:2026年11月1日
URLを送るだけで、外から確認できる範囲で、サイトの状態と引っ越し先の考え方をお返しします。