EMDASH

EmDashとは?
WordPressユーザーが移る前に知るべきこと

比較・選び方公開・最終確認:WordPress乗り換えラボ編集部
EmDashとは?WordPressユーザーが移る前に知るべきこと
この記事の結論

EmDashは、Cloudflareが開発する無料・オープンソースのCMSで、プラグインを1つずつ隔離して動かすのが最大の特徴です。WordPressの記事・画像は移せますが、テーマとプラグインは移せません。記事を書き続けたい会社には有力な選択肢ですが、2026年9月に1.0が出たばかりの新しい仕組みです。試しの環境で自社の記事を取り込んでから決めるのがおすすめです。

この記事は、WordPressのサイトを持っていて、「EmDashという名前を聞いたけれど、自分のサイトが移れるのか分からない」という会社やお店の担当者に向けて書いています。EmDashを含む5つの乗り換え先を横並びで比べたい方は、WordPressからの乗り換え先5つを比較をご覧ください。この記事では、EmDashそのものを詳しく見ていきます。

この記事の情報について2026年10月31日時点の、Cloudflare公式ブログ・公式ドキュメント、EmDashのGitHubとnpm(配布サイト)の情報をもとにまとめています。EmDashは新しい版が短い間隔で出ており、できることや画面は変わる可能性があります。移行を決める前に、最新の公式情報を確かめてください。

結論:EmDashは「プラグインを隔離した、WordPressの後継候補」

Cloudflareは、EmDashをWordPressの「精神的な後継」と位置づけて発表しました。WordPressと同じように管理画面で記事を書けて、WordPressの記事を取り込めます。一方で、中の仕組みは一から作り直されています。

WordPressのユーザーから見て、いちばん大きな違いはプラグインの扱いです。WordPressでは、プラグインはサイト全体と同じ権限で動くため、1つのプラグインの穴がサイト全体の被害につながります。EmDashでは、プラグインは隔離された場所で動き、管理者が許可したことしかできない設計です。

ただし、テーマとプラグインは移せず、見た目と機能は作り直しになります。新しい仕組みのため、情報もまだ多くありません。「今すぐ全員が移るべきもの」ではなく、条件が合うサイトにとっての有力な選択肢と考えてください。

EmDashの基本

項目内容
開発Cloudflare(協力者は1.0の時点で175人超)
ライセンスMIT(無料のオープンソース)。WordPressのコードは使っていない
作りすべてTypeScriptで書かれ、Webサイトを作る仕組み「Astro」が土台
動かす場所Cloudflare(Workers・D1・R2)か、SQLiteを使うNode.jsのサーバー
ログインパスキー(指紋や顔、端末のロックでログインする方式)が標準
権限管理者・編集者・投稿者・寄稿者

これまでの流れ

日付出来事
2026年4月1日開発者向けのプレビュー(v0.1.0)として発表
2026年8月Cloudflareが自社のブログをEmDashへ移す
2026年9月28日安定版の1.0を発表。プラグインの登録所(プラグインディレクトリに当たるもの)も公開
2026年10月1.1(10月1日)、1.2(10月6日)、1.3(10月15日)、1.4(10月29日)と新しい版が続く

10月の版の日付は、配布サイト(npm)の公開日で確かめたものです。1か月に4回、新しい版が出ていることから、開発がとても活発な段階だと分かります。

WordPressの言葉で言うと、EmDashの何に当たるか

WordPressに慣れた人が戸惑わないよう、よく使う言葉を対応させました。

WordPressEmDash違い
投稿・固定ページコンテンツ(記事など)WordPressの書き出しファイルから取り込める
カスタム投稿タイプコンテンツの種類(スキーマ)管理画面から種類を定義でき、WordPressのカスタム投稿タイプも移せる
メディアライブラリメディアライブラリ取り込むと、記事に付いた画像も移る
テーマAstroで作る見た目そのままは移せない。AIで移植を手伝う仕組み(Agent Skills)が用意されている
プラグイン隔離されたプラグインWordPressのプラグインは動かない。EmDash用のものを登録所から入れる
ユーザーとパスワードユーザーとパスキー標準はパスワードを使わないログイン。会社のシングルサインオンにもつなげられる
購読者(対応する権限なし)EmDashの権限は管理者・編集者・投稿者・寄稿者の4つ

WordPressとの大きな違い

プラグインが隔離されている

EmDash 1.0の発表では、プラグインは初期状態ではサイトの記事・画像・ユーザー・秘密の情報・ファイル・外部との通信のどれにも触れず、プラグインが申し出て、管理者が認めた力だけが使えると説明されています。たとえば「記事を読む」「メールを送る」といった力を、プラグインごとに許可する形です。外部と通信できる相手も、プラグインが申し出た先に限られます。

WordPressでは、入れたプラグインはサイトの中でほぼ何でもできます。2026年に起きたWordPressの重大な脆弱性のような本体の問題は別として、WordPressの脆弱性の多くはプラグインで見つかっています。この点を設計から変えたのが、EmDashのいちばんの特徴です。

パスワードを漏らしにくいログイン

WordPressでは、管理画面のパスワードを狙う攻撃が絶えません。EmDashは、標準のログインをパスキーにしており、Cloudflareは「漏れるパスワードがない」と説明しています。

サーバーを常に動かさない作り

Cloudflareで動かす場合、アクセスがあったときだけ処理が動き、使った処理の時間だけが料金の対象になる作りです。アクセスの少ない会社のサイトでは、サーバーを借り続ける形より費用を抑えやすくなります。

プラグインの登録所が改ざんに強い作り

プラグインの登録所(plugins.emdashcms.com)では、公開者の署名や、ファイルの中身が改ざんされていないかなどを確かめる仕組みが入っています。今は無料のプラグインだけで、有料のプラグインは今後の予定とされています。

移せるもの・移せないもの

もの移せるか移し方・注意
投稿・固定ページ移せるWordPressの「ツール」→「エクスポート」で作る書き出しファイル(WXR)を取り込むか、EmDash Exporterプラグインを使う
画像移せる記事に付いた画像は、取り込みの際にEmDashのメディアライブラリへ入る
カスタム投稿タイプ移せるEmDashのコンテンツの種類に変わる
テーマ(見た目)移せないAstroで作り直す。AIで移植を手伝う仕組みはあるが、自動ではない
プラグインの機能移せないEmDash用のプラグインを探すか、作るか、外部サービスで代わりを用意する
ユーザー確かめが必要標準のログインがパスキーに変わるため、使う人ごとのログインの準備をどうするか、試しの環境で確かめる
URL設定次第今のURLと同じにできない場合は、転送(301リダイレクト)の設定が要る

Exporterプラグインを使う方法では、WordPressの「アプリケーションパスワード」で守られた取り出し口を通して中身を受け渡すとされています。移し終えたら、このプラグインとアプリケーションパスワードは消しておきましょう。

見落としやすいのは、プラグインに頼っていた機能です。お問い合わせフォーム、SEOの設定、目次、予約、会員、ネットショップなど、今のサイトで使っている機能を一覧にし、EmDashで何に置き換えるかを1つずつ決めておきます。

費用:無料で使える範囲と、お金がかかる条件

EmDash自体は無料ですが、どこで、どう動かすかで費用が変わります。

かかるもの内容(2026年10月31日時点)
EmDash本体無料(MITライセンス)
隔離されたプラグインを動かすCloudflareのDynamic Workersは、有料のWorkers Paidプランでのみ使える。Workers Paidは月5ドルから
データベース・画像の置き場Cloudflareで動かす場合はD1とR2を使う。それぞれに料金表があり、使う量で変わる
Node.jsのサーバーで動かすサーバーの料金。プラグインの隔離には、別に動かす仕組み(workerd)が要る
見た目の作り直し・移行自社でできなければ、制作会社への依頼費

CloudflareのDynamic Workersの料金表では、Workers Paidプランに、1か月あたりDynamic Workers 1,000個、リクエスト1,000万回などが含まれ、超えた分が追加料金になるとされています。会社案内やお店のブログくらいの規模なら、この範囲で収まることが多いと当ラボは見ていますが、実際の量は試しの環境で確かめてください。

「EmDashは0円」とは限らないプラグインを使うなら月5ドルからの有料プランが前提になります。それでも、レンタルサーバーと保守の費用を合わせた今の金額と比べると、下がることが多いはずです。比べるときは、毎月の料金と、移行の一時的な費用の両方を並べてください。

静的サイト化とどちらを選ぶか

WordPressをやめる方法として、EmDashとよく比べられるのが静的サイト化(ページをHTMLのファイルにして置く方法)です。迷ったら、次の表で考えてみてください。

判断の材料EmDashが向く静的化が向く
更新の頻度お知らせやブログを月に数本以上書く年に数回、内容を直す程度
書く人社内の複数の人が、管理画面から書く担当者1人か、制作会社に頼んでいる
見た目この機会に作り直してもよい今の見た目をできるだけ残したい
攻撃される場所管理画面は残る(ただしパスキー・プラグインの隔離で守る)公開している場所に管理画面がなくなる
毎月の費用プラグインを使うなら月5ドルから無料の範囲に収まることが多い

ほとんど更新しない会社案内なら静的化、記事を書き続けたいならEmDash、というのが当ラボの基本の考え方です。静的化の具体的な手順は、WordPressをCloudflareへ移す4つの方法で解説しています。

注意点:Cloudflareへの依存と、新しさ

Cloudflareへの依存

EmDashはNode.jsのサーバーでも動き、データベースはSQLite・Turso/libSQL・PostgreSQL、画像の置き場はAWS S3などのS3互換のサービスやサーバーの中にも置けると、GitHubで説明されています。Cloudflareでしか動かないわけではありません。

ただし、いちばんの特徴であるプラグインの隔離は、Cloudflare上ではDynamic Workersを、Node.jsではworkerd(Cloudflareが公開している実行の仕組み)を使います。いちばん手軽に、説明どおりの形で動かせるのはCloudflareの上です。開発もCloudflareが中心になって進めているため、「将来どこまでCloudflareの方針に左右されるか」は、選ぶ前に考えておきたい点です。

新しい仕組みであること

移る前に試す手順

  1. 今のサイトの棚卸しをする
    ページの数、カスタム投稿タイプ、使っているプラグインと、その機能が本当に要るかを書き出します。
  2. 公式のPlaygroundで触ってみる
    EmDashの公式サイト(emdashcms.com)のPlaygroundで、管理画面の使い勝手を確かめます。記事を書く担当者に触ってもらうのがおすすめです。
  3. 試しの環境を作る
    公式の「Deploy to Cloudflare」ボタンか、npm create emdash@latest で、本番とは別の試しのサイトを作ります。
  4. 自社の記事を取り込む
    WordPressの書き出しファイル(WXR)を取り込み、記事・画像・カスタム投稿タイプが崩れずに入るかを確かめます。
  5. 手放せない機能の代わりを確かめる
    フォームなど、棚卸しで「要る」とした機能が、EmDashのプラグインや外部サービスで用意できるかを確かめます。
  6. 移すかどうかを決める
    見た目の作り直しの費用と、毎月の費用、更新の手間を、今のWordPressと比べて決めます。

試してみて合わないと分かった場合も、手間は無駄になりません。棚卸しの結果は、静的化やサーバーの乗り換えなど、ほかの方法を選ぶときにもそのまま使えます。どの道がよいか迷う場合は、WordPressをやめたい人へ:理由別に分かる「次の選び方」も参考にしてください。

よくある質問

EmDashはWordPressの新しい版ですか?

違います。EmDashはCloudflareが開発している別のCMSで、Cloudflareは、WordPressのコードは使っていないと説明しています。WordPressと同じような管理画面で記事を書けますが、中の仕組みは別物のため、WordPressのテーマやプラグインはそのままでは動きません。

EmDashの管理画面は日本語で使えますか?

配布されている管理画面の部品(2026年10月31日時点の最新版1.4.0)には、日本語の訳が含まれていることを確認しました。Cloudflareは、1.0の時点で協力者の手により25の言語に訳されたとしています。ただし、すべての画面やプラグインが日本語になっているとは限らないため、試しの環境で実際の画面を確かめてください。

EmDashは無料で使えますか?

EmDash自体は、MITライセンスの無料のオープンソースです。ただし、動かす場所の料金は別にかかることがあります。特に、Cloudflareでプラグインを隔離して動かす仕組み(Dynamic Workers)は、2026年10月31日時点の公式ドキュメントでは有料のWorkers Paidプランでのみ使えるとされています。

WordPressの記事や画像は、EmDashに移せますか?

移せます。Cloudflareは、WordPressの書き出しファイル(WXR)を取り込む方法と、専用の「EmDash Exporter」プラグインを使う方法を案内しており、記事に付いた画像もEmDashのメディアライブラリに取り込まれるとしています。カスタム投稿タイプも、EmDashのコンテンツの種類として移せるとされています。

EmDashに移れば、更新作業はなくなりますか?

なくなりません。EmDashは2026年9月28日に1.0が出たばかりで、その後も10月だけで1.1〜1.4と新しい版が続けて出ています。プラグインが隔離されていることで、1つのプラグインの穴がサイト全体に広がりにくい設計にはなっていますが、本体やプラグインを新しく保つ作業は続きます。

予約やネットショップがあるWordPressサイトでも、EmDashに移れますか?

今のところは慎重に考えたほうがよいでしょう。EmDashのプラグインはまだ数が限られ、WordPressのプラグインはそのまま動きません。予約・会員・ネットショップに使っている機能の代わりが、EmDashで用意できるかを先に確かめてください。代わりが見つからなければ、WordPressを残したまま守りを固めるほうが現実的です。

参照元

EmDashが合うかどうか、無料で診断します

URLを送るだけで、今のサイトの作りと、EmDash・静的化など合いそうな移し方をお返しします。

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WordPress乗り換えラボ編集部

運営:株式会社イメージ・ジャパン(1997年創立)。WordPressからの乗り換えと乗り換え後の見守りのほか、Web制作・SEO、AI導入支援、自社AIツール(VCT・Symphy・Mapvoice AI)の開発・運営を手がけています。

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