制作会社と連絡が取れなくなったら、最初に確かめるのはドメインの持ち主(名義)と有効期限です。ドメインが切れると、サイトもメールも止まり、取り戻せなくなることがあります。次に、サーバー、WordPressの管理画面、メールの順に「誰の名義で、誰がログインできるか」を確かめます。ログインできないときは、他人のアカウントにパスワードを推測して入るのではなく、契約先の会社に正規の手続きを相談します。
結論:まず「ドメインの持ち主」を確かめる
「サイトの文章を直したいのに、作ってくれた会社に電話がつながらない」「担当の人が辞めて、誰も分からない」「個人で請け負ってくれていた人と連絡が途絶えた」。理由はさまざまでも、困りごとは同じです。自分の会社のサイトなのに、自分では触れない状態です。
このとき、いきなり「サイトをどう直すか」「作り直すか」を考える必要はありません。WordPressをやめたい人へでも触れたとおり、どの道を選ぶにも、まず管理する権利を自分の手に取り戻すことが先です。そして、その中で一番急ぐのがドメインです。
example.co.jp のような住所)は、期限までに更新しないと使えなくなります。サイトのデータが残っていても、ドメインが切れれば誰も見に来られず、そのドメインのメールも届かなくなります。サーバーやWordPressは後から作り直せますが、ドメインは、手放すと他人に取られて戻らないことがあります。放っておくと何が起きるか
| 起きること | きっかけ | 影響 |
|---|---|---|
| サイトとメールが止まる | 制作会社が払っていたドメインやサーバーの料金が止まる | 問い合わせも、取引先とのメールも届かなくなる |
| ドメインを他人に取られる | 更新されずに期限が切れ、別の人に登録される | 会社の名前のドメインで、知らないサイトが公開されることがある |
| 攻撃される | WordPress本体やプラグイン、PHPの更新が止まる | 改ざんや情報漏えいの入口になる |
| 情報が古いまま残る | 文章を直せない | 営業時間や料金、住所の誤りでお客さまに迷惑がかかる |
3つめは特に注意が必要です。連絡が取れなくなった時期から、WordPressの更新も止まっていることが多いためです。2026年はWordPress本体やPHPに重大な脆弱性が見つかっており(wp2shellとは?、PHPのバージョンとサポート期限の確認方法)、更新されないサイトは狙われやすい状態です。
確認する4つのアカウント
ホームページは、別々の会社と結んだいくつもの契約でできています。次の4つについて、「誰の名義か」「誰がログインできるか」を表にしてみてください。
| アカウント | どこで契約しているか | 失うと困ること | 急ぐ度合い |
|---|---|---|---|
| ① ドメイン | ドメインの登録会社(レンタルサーバーの会社が兼ねていることも多い) | サイトとメールの住所そのもの。期限切れで失う | 最優先 |
| ② サーバー | レンタルサーバーの会社など | サイトのデータ、WordPress、バックアップの置き場 | 高い |
| ③ WordPressの管理画面 | サーバーの中(契約ではなくアカウント) | 文章や画像の更新、プラグインの更新 | 中くらい(②に入れれば取り戻せることが多い) |
| ④ メール | サーバーの付属、またはGoogle Workspace、Microsoft 365など | 会社のメールの送受信 | 高い(①②と一緒に止まりやすい) |
あわせて、Google Search Console(検索での表示の管理)やGoogleアナリティクス(アクセス解析)、Googleビジネスプロフィールなどを制作会社が管理していなかったかも書き出しておくと、後の作業が楽になります。
手元で探すもの
- 制作の契約書・見積書・発注書(ドメインやサーバーを誰の名義で取るか書かれていることがある)
- 毎年・毎月の請求書や引き落としの記録(自社が直接払っていれば、契約者は自社の可能性が高い)
- メールの受信箱で「ドメイン」「更新」「サーバー」「契約」「お申し込み」と検索した結果(登録完了や更新のお知らせが残っていることがある)
- 公開したときに受け取った、ログイン情報の一覧の紙やファイル
ドメインの持ち主を調べる方法
- 手元の記録から、登録会社を探す
上のチェックリストで、ドメインの登録や更新のお知らせが見つかれば、どの会社で、誰の名義で登録しているかが分かります。自社に届いていれば、自社が契約者の可能性が高いです。 - WHOIS(フーイズ)で調べる
ドメインの登録情報は、WHOISという仕組みで調べられます。.jpで終わるドメインはJPRSのWHOIS、.comなどはICANNの検索サービスで調べるのが一般的です。登録会社の名前や有効期限が分かることが多い一方、登録者の名前や連絡先は、プライバシー保護のために伏せられていることもあります(たとえばCloudflareの登録サービスは、初期設定で公開のWHOISから連絡先を伏せています)。 - ネームサーバーから、サーバーやDNSの会社を探す
DNSを調べるサービスでドメインの「ネームサーバー(NS)」を見ると、多くの場合、そのドメインの設定をどの会社で管理しているかの手がかりになります。 - 登録会社に問い合わせる
契約者が自社なら、本人確認の手続きを経て、ログイン情報の再発行や登録メールアドレスの変更を相談できます。契約者が制作会社なら、契約書や支払いの記録をそろえたうえで、どんな手続きがあるかを確かめます。
.com などのドメインについて、ICANNの決まりとして「登録者の名前・組織・メールアドレスを変えてから60日間」と「登録や移管から60日間」はほかの登録会社へ移せないと説明しています。名義を自社に変えた直後に別の会社へ移す予定なら、この期間を見込んでおきます。有効期限が近い場合は、名義の整理より先に、まず期限切れを防ぐことを優先してください。どう払えば更新できるかを、登録会社に相談します。
ログイン情報が分からないとき
サーバー
契約者が自社なら、サーバーの会社の「パスワードを忘れた」手続きや本人確認で、ログインできるようにする道があります。契約者が制作会社の場合は、制作会社の協力を得るか、難しければ新しいサーバーを自社名義で契約し、そこへサイトを移す(あるいは作り直す)ことを考えます。移し方はWordPressの引っ越し完全ガイドで解説しています。
WordPressの管理画面
WordPress.orgの公式ドキュメントは、パスワードの再設定の方法を、残っている権限に応じていくつか案内しています。
| 手元にある権限 | 使える方法 |
|---|---|
| 管理者のメールアドレスが自社のもの | ログイン画面の「パスワードをお忘れですか?」から再設定メールを受け取る |
| 別の管理者アカウントで入れる | 「ユーザー」→「ユーザー一覧」から対象のユーザーを開き、新しいパスワードを作る |
| サーバーの管理画面に入れる | データベースの管理ツール(phpMyAdminなど)やWP-CLIで、パスワードを書き換える |
データベースを直接書き換える方法は、間違えるとサイトが壊れることがあります。公式ドキュメントも、自信がなければ助言を求めるよう注意しています。作業の前にバックアップを取り、不安なら専門の会社に頼んでください。
メール
メールがサーバーの付属なら、サーバーを取り戻せばメールの設定も触れるようになります。Google Workspace や Microsoft 365 を制作会社の名義で契約していた場合は、それぞれの会社の手続きに従います。メールを移すと、しばらく届かない時間が出ることがあるため、取引先への連絡も考えておきます。
やってはいけないこと
- サーバーの契約を、先に解約しない:データやメールが消えます。新しい置き場が動いてから止めます。
- ネームサーバーを、よく調べずに変えない:メールの設定が消えて、メールが止まることがあります。
- 強い口調の書き込みや、相手の会社名を挙げた公開の批判をしない:連絡が取れない理由は、病気や事故のこともあります。話がこじれると、協力を得にくくなります。
制作会社に連絡がついたら、渡してもらうもの
- ドメインの登録会社名と、ログイン情報(できれば自社名義への変更)
- サーバーの会社名と、ログイン情報(できれば自社名義への変更)
- WordPressの管理者アカウント(自社のメールアドレスで新しく作ってもらう)
- メールの管理画面のログイン情報
- Search Console・Googleアナリティクスなどの所有者権限
- 最新のバックアップ一式と、使っている有料テーマ・プラグインの契約の情報
取り戻した後にやること
- すべてのパスワードを変える
ドメイン、サーバー、WordPress、データベース、FTP、メールのパスワードを、新しく作り直します。 - 登録メールアドレスを自社のものにする
ドメイン、サーバー、WordPressの管理者のメールアドレスが制作会社のままだと、更新のお知らせや再設定のメールが届きません。 - WordPressのユーザーを見直す
知らない管理者や、使わなくなったアカウントは、権限を下げるかパスワードを変えて使えなくし、動作を確かめてから消します。 - Search Consoleの所有者を見直す
Googleは、所有者を外しても、その人の確認用のファイルやタグがサイトに残っていると、所有権を取り戻せてしまうと説明しています。「ユーザーと権限」で外したうえで、使われていない確認用のトークンも消します。覚えのない所有者がいる場合は、サイトが乗っ取られている可能性もあります(乗っ取りを確認する方法)。 - ドメインの自動更新と支払い方法を設定する
自社のカードや口座で払う設定にし、更新のお知らせが届くメールアドレスを、担当者が変わっても見られる共有のアドレスにします。 - バックアップを取り、更新の状況を確かめる
WordPress本体・テーマ・プラグイン・PHPのバージョンを確かめ、古いものから更新します。更新で表示が崩れることもあるため、バックアップを取ってから進めます。
ここまで終われば、ようやく「このまま続けるか、仕組みを変えるか」を落ち着いて選べます。自分たちで更新を続けるのが難しそうなら、WordPressからの乗り換え先5つを比較で、守る手間の少ない方式を比べてみてください。
二度と同じことにならないために
- ドメインとサーバーは、自社の名義・自社の支払いで契約する(制作会社には作業用のアカウントを発行する)
- ログイン情報を、社内の決まった場所に一覧で保管し、担当が替わるときに引き継ぐ
- 制作や保守の契約で、「契約が終わるときに渡すもの」を書いておく
- WordPressの管理者を、制作会社1人だけにしない(自社の管理者アカウントを持つ)
- 年に1回、ドメインの期限と、4つのアカウントにログインできるかを確かめる
よくある質問
制作会社が廃業していました。サイトはもう取り戻せませんか?
取り戻せる場合も多くあります。ドメインやサーバーの契約者が自社なら、それぞれの会社の本人確認を経て、自分でログインできるようにする道があります。契約者が制作会社だった場合は、契約書や支払いの記録をそろえて、ドメインやサーバーの会社に手続きを相談します。どちらの場合も、早く動くほど選べる道が多くなります。
ドメインの名義が制作会社になっていました。自社に移せますか?
名義を変える手続きには、多くの場合、今の名義人(制作会社)の同意が必要です。連絡が取れない場合の扱いは、ドメインの種類や管理している会社によって違うため、契約書や支払いの記録をそろえて、ドメインの管理会社に相談してください。名義を変えると、一定期間ほかの会社へ移せなくなる決まりがあるドメインもあります。
WordPressの管理画面のパスワードだけ分かりません。どうすればよいですか?
ログイン画面の「パスワードをお忘れですか?」から、登録しているメールアドレスに再設定のメールを送れます。そのメールアドレスが制作会社のものだと届かないため、その場合はサーバーの管理画面に入れるかを確かめます。サーバーに入れれば、データベースの管理ツールなどから再設定する方法が、WordPressの公式ドキュメントで案内されています。
前の制作会社のアカウントは、すぐに消したほうがよいですか?
取り戻した後は、使わないアカウントを残さないのが基本です。ただ、いきなり消すと、そのアカウントで書いた記事の扱いを聞かれたり、制作会社の仕組みで動いていた機能が止まったりすることがあります。まず権限を下げるかパスワードを変えて使えなくし、サイトが問題なく動くことを確かめてから消すと安全です。
制作会社に作ってもらったデザインや文章を、別の会社で使い続けてもよいですか?
制作物の権利がどちらにあるかは、契約の内容によって変わります。まず契約書や発注書を確かめてください。はっきりしない場合や、作り直しや大きな改変を考えている場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
取り戻した後、そのままWordPressを使い続けても大丈夫ですか?
まず、WordPress本体・プラグイン・PHPがいつから更新されていないかを確かめてください。連絡が取れなかった期間、更新も止まっていた可能性が高いためです。古いまま公開を続けるのは危険です。自分たちで更新を続けられるかどうかで、続けるか、仕組みを変えるかを決めるとよいでしょう。
参照元
- WordPress.org Documentation:Reset your password(2026年3月27日更新)
- Search Console ヘルプ:プロパティのユーザー、所有者、権限を管理する
- Cloudflare Docs:Transfer your domain to Cloudflare(2026年10月29日更新)
- e-Gov法令検索:不正アクセス行為の禁止等に関する法律
- 最終確認日:2026年11月5日
URLを送るだけで、外から確認できる範囲で、ドメインやサーバーの状況と、次にやるべきことをお返しします。