WordPressとPHPは別物で、両方を新しく保つ必要があります。2026年10月時点で安全に使えるのはPHP 8.2〜8.5ですが、8.2は2026年12月31日にサポートが終わります。WordPressの推奨どおり、PHP 8.3以上にしておきましょう。
WordPressとPHPの関係
WordPressは、PHP(ピーエイチピー)というプログラム言語で作られています。サイトを開くたびに、サーバーの上でPHPが動き、ページを組み立てて表示しています。
家にたとえると、次のような関係です。
| たとえ | 実際の部品 | 更新するのは |
|---|---|---|
| 家具・設備 | プラグイン、テーマ | 自分(WordPressの管理画面から) |
| 家の建物 | WordPress本体 | 自分(WordPressの管理画面から) |
| 土台・基礎 | PHP | サーバー会社、または自分(サーバーの管理画面から) |
WordPressの管理画面で「更新」ボタンを押しても、土台のPHPは新しくなりません。PHPは、サーバーの側で別に切り替える必要があります。
なぜPHPが古いと危ないのか
PHPのバージョンには、それぞれ「サポート期限」があります。期限が過ぎたバージョンには、脆弱性(セキュリティの穴)が見つかっても、修正版が出ません。
2026年10月21日に公表されたPHPの重大な脆弱性「PHP2Shell」では、まさにこれが起きました。
- 修正版が出たのは、サポート中の8.2/8.3/8.4/8.5だけ。
- サポートが終わったPHP 8.1以前には、公式の修正版が出なかった。
- 調査した企業の発表として、PHP 5.4以降は少なくともどちらか1件の影響を受けると紹介された(IPAの注意喚起より)。
つまり、古いPHPを使い続けているサイトは、穴が開いたまま、ふさぐ手段がない状態になります。くわしくはWordPressセキュリティの今:2026年10月のPHP脆弱性で、やるべきことをご覧ください。
PHPのバージョンを確かめる3つの方法
方法1:WordPressの管理画面で確かめる(いちばん簡単)
- WordPressの管理画面にログインする
- 左のメニューから「ツール」→「サイトヘルス」を開く
- 上の「情報」タブを開く
- 「サーバー」の項目を開き、「PHP のバージョン」を見る
「8.3.36」のように表示されます。最初の2つの数字(この例なら「8.3」)が、サポート期限を調べるときの「系列」です。
PHPが古い場合、サイトヘルスの「ステータス」タブにも、更新をすすめるメッセージが表示されることがあります。
方法2:サーバーの管理画面で確かめる
多くのレンタルサーバーでは、管理画面に「PHPのバージョン設定」のような項目があり、ドメインごとのバージョンを確認・変更できます。メニューの名前はサーバー会社によって違うため、見つからない場合はサーバー会社のマニュアルで「PHP バージョン」と検索してください。
方法3:サーバー会社や制作会社に問い合わせる
管理画面に入れない場合は、次のように問い合わせるのが確実です。
制作会社に保守を任せている場合は、あわせて「PHPを上げる予定はありますか」と聞いておくと、保守の中身を確かめるきっかけにもなります。
PHPのサポート期限一覧(2026年10月時点)
| PHPの系列 | 状態(2026年10月27日時点) | セキュリティ修正の期限 | おすすめの対応 |
|---|---|---|---|
| 8.5 | サポート中(不具合とセキュリティを修正) | 2029年12月31日 | このまま。修正版が出たら更新 |
| 8.4 | サポート中(不具合とセキュリティを修正) | 2028年12月31日 | このまま。修正版が出たら更新 |
| 8.3 | セキュリティ修正のみ | 2027年12月31日 | 当面は使える。2027年中に8.4以上を計画 |
| 8.2 | セキュリティ修正のみ | 2026年12月31日 | 年内に8.3以上へ |
| 8.1以前 | サポート終了 | 終了済み | すぐに8.3以上へ |
出典:PHP公式「Supported Versions」
WordPressの推奨
- WordPress公式は、PHP 8.3以上を推奨しています。
- WordPress 7.0/7.1は、PHP 7.4以上で動きます。ただしWordPress公式も、サポートが終わったPHPは脆弱性にさらされるおそれがあるとして推奨していません。
- WordPress 7.0/7.1は、PHP 8.3/8.4/8.5のすべてに対応しています。
PHPを安全に上げる手順
PHPを上げると、古いテーマやプラグインが動かなくなることがあります。次の順番で進めると安全です。
- バックアップを取る
ファイルとデータベースの両方を保存します。サーバー会社の自動バックアップがあれば、いつの時点に戻せるかも確認しておきます。 - WordPress・テーマ・プラグインを先に更新する
古いプラグインほど、新しいPHPで動かない可能性が高くなります。PHPを上げる前に、すべて最新にしておきます。使っていないプラグインは、この機会に削除します。 - 長く更新されていないプラグインを確かめる
WordPress.orgのプラグインページで、「最終更新」がかなり前のものや、配布が止まっているものがないか確認します。代わりのプラグインを探すか、制作会社に相談します。 - できればテスト環境で試す
サーバー会社によっては、本番サイトを複製した「テスト環境(ステージング)」を作れます。まずテスト環境でPHPを切り替えて、問題がないか確かめます。 - PHPを切り替える
サーバーの管理画面で、PHPのバージョンを切り替えます。一気に何段階も上げず、1段階ずつ上げると、問題が出たときに原因を探しやすくなります。 - サイトを確かめる
切り替えたら、すぐに下のチェック項目を確認します。
- トップページと主要なページが表示される
- 画像やレイアウトが崩れていない
- お問い合わせフォームから送信でき、メールが届く
- 管理画面にログインできる
- 記事の投稿・編集ができる
- ネットショップや予約機能があれば、その動作
上げたら表示が崩れたときは
慌てずに、まずPHPを元のバージョンに戻します。サーバーの管理画面から、すぐに戻せることがほとんどです。
そのうえで、原因を探します。
| よくある症状 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 画面が真っ白になる | プラグインかテーマが、新しいPHPに対応していない |
| 一部のページだけ崩れる | 特定のプラグインやテーマの機能が動いていない |
| 「重大なエラーが発生しました」と出る | WordPressがエラーを検知した。管理者宛てのメールに原因の手がかりが届くことがある |
| フォームが送れない | フォームのプラグインが対応していない |
原因のプラグインやテーマを最新版にする、代わりのものに入れ替える、といった対応のあと、もう一度PHPを上げます。
PHPを上げられないときの選択肢
「テーマが古すぎて、新しいPHPで動かない」「作った制作会社と連絡が取れない」という場合もあります。
IPAは、2026年10月のPHPの脆弱性についての注意喚起で、保守の体制を確保できない場合は、保守を受けられる製品への移行、機能の縮小、公開の終了、廃止も含めて検討するよう案内しています。
| 選択肢 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| テーマやプラグインを直す・作り直す | 今後もWordPressを使い続けたい | 費用と時間がかかる。今後もPHPの更新は続く |
| Cloudflareを前に置く | すぐには作り直せないが、守りを固めたい | 攻撃を止めやすくなるが、PHPの穴そのものはふさがらない |
| 静的サイトに変える | ほとんど更新しない会社のサイト | PHPを動かさないので、PHPの脆弱性の影響を受けない。動く機能は減る |
| EmDashなど別のCMSへ移る | ブログやお知らせを更新し続けたい | WordPressのテーマとプラグインはそのまま使えない |
| サイトを閉じる | もう使っていないサイト | ドメインの扱いを決めておく |
それぞれの違いはWordPressの代替CMS比較、進め方は脱ワードプレス完全ガイドで解説しています。
よくある質問
WordPressを最新にしていれば、PHPは古くても大丈夫ですか?
大丈夫ではありません。WordPressとPHPは別物で、PHPの穴はWordPressの更新ではふさがりません。2026年10月のPHPの脆弱性でも、WordPress公式が「WordPressの更新は不要。PHPを更新してください」と案内しています。
PHPのバージョンは、どれにすればいいですか?
2026年10月時点では、WordPressの推奨どおりPHP 8.3以上をおすすめします。8.2は2026年12月31日にサポートが終わります。
PHPを上げると、SEO(検索順位)に影響しますか?
PHPを上げること自体が、順位を直接下げることはありません。ただし、表示が崩れたりエラーが出たりしたまま放置すると、訪問者と検索エンジンの両方に悪い影響があります。切り替えたらすぐに表示を確かめてください。
PHPのバージョンは、誰が上げるのですか?
レンタルサーバーの場合は、利用者がサーバーの管理画面で切り替える仕組みが多いです。サーバー会社が自動で上げる場合もあります。自分でサーバーを管理している場合は、自分で更新します。保守契約がある場合は、契約に含まれているか制作会社に確認してください。
PHPのサポート期限は、どこで確認できますか?
PHP公式サイトの「Supported Versions」のページで確認できます。各系列の、セキュリティ修正がいつまで続くかが載っています。
古いPHPのままにすると、具体的に何が起きますか?
新しく見つかった穴がふさがれないため、外からサイトを改ざんされたり、サーバーを乗っ取られたりするおそれが高まります。改ざんされたサイトは、検索結果に警告が出たり、検索結果から外されたりすることがあります。
参照元
- PHP公式:Supported Versions
- PHP公式:Security advisory(2026年10月21日)
- WordPress公式:Requirements
- WordPress公式:PHP Compatibility and WordPress Versions
- WordPress公式:Critical PHP Security Release(2026年10月21日)
- IPA:PHP2Shell(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)に関する注意喚起(2026年10月22日公開、10月27日更新)
- 最終確認日:2026年10月27日
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